STORYSHO Kizaki

#007-7 確執確かに翔はギャルソンズで働き

2021.09.26

#007-7 確執確かに翔はギャルソンズで働き始める際、ブルーナイトの店長から、その事を客には言わない事を約束させられていた。翔に会いたい客がそっちに流れる事を恐れたからだ。しかし、その事を逆手に取って足を引っ張る者が出て来る事は予想だにしていなかった。 「でも、何で蓮さんが…」 「あの人、プライドが高(たけ)ぇだろ、ホスト一筋だし。それなのに新参者の翔にランキングで抜かれたから、その腹いせなんじゃねぇか」 蓮はブルーナイトの中でも古株で、ホストたちの仲でも幅を利かせている存在だった。蓮が翔の客に虚言(ウソ)を流している事を誰も翔に伝えなかったのも、蓮を敵に回したくなかったからだった。 「どうすんだよ。このまま放っとく訳にいかねぇだろ。なんなら俺、力になるぜ。俺も蓮の野郎は気に喰わねぇと思っていたからよ」 翔は、しばし考えると、心配してくれるこの友人に、ひと言だけ返した。 「いいよ。このままで」 「ハァ!?このままって…お前、尻尾巻いて逃げんのかよ」 当然、達也は納得できなかった。しかし、翔は怒りを見せる素振りもなく淡々と力強く言葉を続けた。