STORYSHO Kizaki
#205-4 再起そんな中、キャストの
2022.1.23
#205-4 再起そんな中、キャストの薫は知人がやっている内装業者を翔に紹介した。既に薫が事情を説明し、交渉しておいてくれたので、その業者はジュエルの改装と水浸しになった下の店舗の補修、煤で汚れた上の階の住居や共有部分の清掃などを破格の金額で対応してくれた。その上、その支払いを毎月の分割で了解してくれたのだ。 その後、水浸しになった周辺店が修理をしている間の休業補償も、対応が早かったことと、またもや大将が間に入ってくれたこともあり、最少限で済ますことができた。 翔は思った。全て人間関係のおかげだ。世の中で事をなすには、それが1番大切な事だと。 とはいえ、この火事の1件で翔は23歳にして、3000万円もの借金を負うこととなったのである。両親やスタッフなど、借金のことは誰にも知らせず、自分の内に潜めておいた。誰に相談しても解決する問題でもなく、自分自身で返すしかないと自負していたからだ。この時の翔は、そんな借金へのプレッシャーなど微塵も感じていなかった。