STORYSHO Kizaki

#315-2 葛藤竹原のこれまでの人生は、

2022.9.18

#315-2 葛藤竹原のこれまでの人生は、人を信用したい心と、それを裏切られることの繰り返しだった。 竹原は北陸で何代も続く名家に生まれた。祖父は家を継がなかったが、もし継いでいたら竹原で28代目となる藤原氏由来の家系だった。祖父は本家を出て大阪へと移り住んだ後、日本のあり方について活動を行う宗教家を生業としていた。 いわゆる右翼であったが街宣車を走らせるいうのではなく、その考えを広く人々に説いていた。祖父の話を聞きに訪れる人の中には、衆議院議員などの政治家もいたほどであった。 そんな家庭だっただけに教育は人一倍厳しく、夕食後の家族団欒の時間の代わりに読書の時間があった。翔が物心つく前から野球をしていたように、竹原も物心がついた頃には読書が生活の一部となっていた。