STORYSHO Kizaki

#003-6 ホスト「ねぇ。新しいボトル入れるから、

2021.08.16

#003-6 ホスト"「ねぇ。新しいボトル入れるから、この新人に儀式やらせなさいよ」先輩ホストも陰険な笑いを浮かべて応じる。そして、ブランデーの新しいボトルが来ると、氷を入れるアイスペールにドボドボと注いだ。「オイ、新入り! これを一気飲みしろ」「!」アイスペールになみなみと注がれたブランデーを一気に飲めと言う。「これがホストの新人歓迎の儀式だ。さあ飲めよ」「ヘルプの仕事はね、先輩ホストの売り上げに貢献することなの。ひたすら酒を飲んで、客に新しいボトルを入れてもらう。それが第一歩なのよ。さあ、飲みなさい」「…」酒の飲めない翔にとって、とてつもない試練だった。だが、酒が当然の世界に飛び込んだ以上、逃げる訳にはいかない。意を決してアイスペールをつかんで立ち上がり、一気に飲み始めた。口元から液体がこぼれ落ちる。息が苦しくて顔が歪む。それでも飲んだ。飲んだ。そして飲み干した。「プハーッ」飲み終えて女性客と先輩ホストを仁王立ちで見下ろした。2人は唖然としていた。「これでいいですか」「あ、ああ…合格だ」その後も翔は先輩ホストの席でヘルプに着き、飲まされ続けた。そして深夜0時を過ぎた頃、体力と気力は限界に達した。翔の視界はグニャグニャに歪み、足元はフラフラ。とてつもない吐き気に襲われ、何とかトイレまでたどり着くと、便器の中に顔を突っ込んで激しく吐いた。そこで力尽き、そのまま記憶を失った。 こうして、翔のホスト1日目は終えた―"