STORYSHO Kizaki

#005-1 哲学こうして始まった翔のホスト稼業

2021.08.22

#005-1 哲学こうして始まった翔のホスト稼業だったが、その華やかさとは裏腹に仕事は過酷だった。 翔の勤める「ブルーナイト」は、店を開く〝口開け〟が夜8時、閉店は朝6時だったが、なかなか帰ろうとしないお客たちが帰り、後片付けを済ませて家に着く頃には、お昼を回っている事が多かった。 昼1時に寝て夕方5時には起きる。新人で指名客のいない翔は、開店2時間前の夕方6時には出勤し、床磨きやテーブル拭き、トイレ掃除、おしぼりの準備まで、売り上げの低い先輩ホストたちと3人でこなしていた。 そんな過酷な生活でも翔に不満はなかった。これまでと勝手が違うのは当然のことだし、そもそも自分が決めて入った世界だ。これが当たり前の生活なのだと現実に順応させていった。 入店から1ヶ月が過ぎた頃には、基本的な仕事の流れと夜型の生活にも慣れ、3ヶ月が過ぎる頃には、周りのホストの良い所を取り入れながら「輝咲翔」というホスト像を築き上げていった。