STORYSHO Kizaki

#006-2 兼業そんな悟志の想いとは別に、

2021.09.05

#006-2 兼業そんな悟志の想いとは別に、ギャルソンズは地元のよくあるスナックの1つになっていた。紳士・淑女が流れるJAZZ(ジャズ)に耳を傾けてカクテルを飲むというよりは、工事現場で働く人達が仕事帰りに仕事着のまま立ち寄っては、ビールや焼酎を飲み、カラオケで演歌を唄う。 しかも、父の悟志は体調を崩し、店には出たり出なかったり。そのため、娘の恵が父の代わりにバーテンダーとして店に出ていた。 「お兄さん、俺のビールまだぁ」 「おい、早くオーダー取れや」 「翔君、このおつまみ1番テーブルにね」 たった13席だが、週末など全ての席が埋まった時は怒涛の忙しさだった。翔は酒やおつまみを運び、テーブルを片付けるというフロア係の仕事を精一杯務めた。