STORYSHO Kizaki
#009-2 人徳シャルマンは、その月の最後
2021.10.17
#009-2 人徳シャルマンは、その月の最後の金曜日、29日の開店を目指し、翔と悟志と恵の3人はギャルソンズの営業と平行しながら、ホストの確保と開店の準備にとりかかった。 ソファー、テーブル、冷蔵庫等が居抜きで残っており、キレイにすれば充分使えるといった状態だったので店の準備は、壁紙と床の張替え、それに照明器具の取替えだけで済んだ。 だが、問題はスタッフ、ホストの確保だった。店の広さから考ええると、翔を入れても最低7人は必要だった。ホストクラブの運営は自分が何とかするとは言ったものの、翔はどうやって人を集めたら良いのかわからなかった。 夜の世界に入ってわかった事、学んだ事はいっぱいある。その中でも“水の世界”は“人”が全てという事。クラブやキャバクラならホステスで、ホストクラブならホストで優秀な人材をそろえなければ客は来ない。客が来なければ店は潰れる。シャルマンの成功は単に、翔がいかに優秀な人材を集められるかにかかっていた。その優秀という言葉の中には、容姿はもちろんの事、性格の善し悪しも含まれていた。ブルーナイト時代、蓮とのトラブルを経験していた翔は、その点だけは痛い程わかっていた。 (どうやって人を集めればいいんだろう。ゼロから立ち上げる店を全部知らない人間で固めるのは不安だし。だからと言って、ホストの知り合いといったらブルーナイト時代の仲間しかいないけど、業界のルール・マナーとしても引き抜くわけにはいかない)