STORYSHO Kizaki

#009-3 人徳自分がブルーナイトに入った時

2021.10.17

#009-3 人徳自分がブルーナイトに入った時のように、求人誌や折込チラシに募集広告を載せるか。だが、それには金がかかる。経済的には余裕のないオーナーにこれ以上の負担を強いる事はできない。 10月も半ばを過ぎ、開店の日は刻々と近づいていた。店の内装は着々と進んでいたが、ホストの確保は1人もできていなかった。さすがに悟志も恵も不安になった。 「翔君、大丈夫なの? 1人もホスト決まってないけど」 「知り合いとか友達に声かけてるから近いうちにはなんとか…」 確かに声はかけていた。だが、素人がいきなりホストの世界に飛び込むのは、かなり抵抗感のある事だった。 更に数日が経っても進展はなかった。いくら楽観的な翔でも、さすがに焦り始めていた。 (ここまで準備ができて、俺が1人もホストを集められなかったら…) 責任が重くのしかかって来たが、光りは一向に見えなかった。だが、開店1週間前、一気に愁眉が開いた。救ってくれたのは、ギャルソンズの常連客と、かつての同僚、そして昔からの友人、人と人との繋がりだった。