STORYSHO Kizaki

#012-1 蘇生シャルマンの終わりを

2021.11.21

#012-1 蘇生シャルマンの終わりを告げられたその日、疲れ切って草加のアパートに帰ったにもかかわらず、翔は布団に入ってからも頭が冴えて眠れなかった。 「半年で得たもの…」 悟志の言った言葉が頭の中で反芻された。 「やっぱり、みんなと知り合えたことだよな…」 仕事をしている時が1番楽しいと思えた。それは苦楽を共にしている仲間たちがいたから。みんないいヤツばかりだった。好きだった… 「でも、店がなくなった今、みんなどうするんだろう。達也さんたちは、またブルーナイトに戻るのかな。修さんなんて、この店のために仕事辞めたんだろ。太田だって、仕事が失くなった」 なぜか考える事は自分の心配ではなく、仲間たちの事だった。 「もっと、みんなと仕事がしたいな…」 そう呟いた時、翔は自分の言葉が耳に入りハッとした。 「それなら、店を続ければいいんじゃねぇのか」 そう思うと、答えは単純な話じゃないかと感じた。元々、シャルマンに売り上げはあった。ただ、借金があったから続ける事ができなかった。それは悟志がオーナーとして始めたのだから仕方ない事だった。でも、借金も何もない自分がやるのなら、シャルマンの売り上げは純粋な売り上げになる。店もそのまま自分が契約して居抜きで借りれば準備費用は限りなくゼロで済む。すぐにでも始められる。 「そうだ。俺がオーナーになればいいんだよ」