STORYSHO Kizaki

#201-2 地位「凄ぇなぁ…女の子たち、

2021.12.12

#201-2 地位「凄ぇなぁ…女の子たち、オーナーがこの店を開くために保証人の問題で頑張っていたのを知っているから、自分たちもできる限りのことをしようって、方々に連絡して、お客さんを呼んでくれたんだ」 「やれる、このスタッフとならやれる。絶対、ジュエル成功させられる」 翔はもう一度、店内に視線を移し、心の中でキャスト1人1人に感謝の気持ちを贈った。 「『下を従えるには、まず上に立つ人間が行動してみせること』。よく聞く言葉だけど、オーナーはそれを体言してみせたってことですね」 「なんだよ、その言葉遣いは〝オーナー〟なんて呼び方やめてよ。今まで通りでいいから」 「そういう訳にはいきません。これまでは友達だったかもしれませんが、これからはオーナーと社員の関係です。他のスタッフやキャストの手前、ケジメはつけます。オーナーがこの店に対して本気であるように、自分も本気です。分かって下さい」 「…分かったよ、ありがとう」 オーナーとなったことで生まれた〝立場〟というものに、少し寂しさを感じながらも、翔は太田の気持ちに素直に感謝した。