STORYSHO Kizaki
#301-6 紹介そう思った時、
2022.2.13
#301-6 紹介そう思った時、翔の脳裏に1人の人物が思い浮かんだ。ジュエルを再会した時から店に来てくれるようになった、ある老人の事を―。年齢は70歳くらい。「若い女の子と話ができるキャバクラというのに1度、来てみたくてねぇ…」と言って来て以来、週に何度も通ってくれている松本老人の事を。 聞けば、某会社の元社長で、地元の資産家だという。奥さんを亡くし、子供たちも独立しての1人暮らし。キャバクラ通いが現在の唯一の楽しみだという。 その松本老人がある時、翔に言った。 「キミは偉いねぇ」 「はっ?」 「聞いたよ。火事で焼けた店の借金を1人で背負って、ちゃんと完済したんだってな。その若さで大したもんだよ。キミはこの先、実業家として大きくなれる可能性がある。成功するためには金が必要な時もある。もし、急場の金が必要な時は、ワシの所に来なさい。キミという人間を担保にして金を回してあげるから」