STORYSHO Kizaki

#303-3 不安『それにしても、今日は

2022.2.27

#303-3 不安『それにしても、今日はどうしたんですか?』 洋服のことなど気にもしていない様子で尋ねてきた。 「僕のほうに洋服が大量に送られてきてから、もうひと月以上経ちますけど、どうなっているんですか」 翔は不安な気持ちを隠さずにそのまま聞いた。 『ああ…あれは、もう少し時間かかるよ。相手は大手だからね。稟議・決済には上層部の承認が必要だから、さすがにこの前の車の時みたいにはいかないよ』 「そうなんですか…」 田中は当たり前だと言わんばかりの口ぶりだった。 『もしかして心配しているの? 大丈夫だって。引き取ることは決まっているんだから』 田中と話しているうちに、翔の不安は次第に晴れていった。 「そうですよね…すいません、そういう会社の仕組みなんて知らなかったから…」 『いや、別に気にしないでいいよ。それじゃ、また動きがあったら連絡するから』 携帯電話を切る時には、さっきまでの不安が嘘のように晴れていった。 (俺、なに心配していたんだろう…) こうして不安を払拭した翔は、またいつもと変わらない毎日を送り始めた。