STORYSHO Kizaki
#309-1 市場東金のキャバクラを見て
2022.5.19
#309-1 市場東金のキャバクラを見て周った翔は感じた。年期の入ったソファーに、お世辞にも綺麗とは言えない店内、そして言葉遣いも適当なキャスト達など、店全体の質の低さについてだ。しかし、それでもお客は入っている。 翔は郊外店の現状を理解した。都心と違い郊外を比べると、郊外では客が選べる店に限りがある。都心なら、電車やタクシーに数分乗れば違う街、違うエリアに行けるが、郊外ではそうもいかないので、客は一定の地域内で選ぼうとする。 その地域の中にある限られた店の中で好みの店を選ぶしか、客には選択肢がないということだった。店側は、そんな状況に甘んじて、質の低いまま、分母の決まった客を分け合っていたのだ。 それは竹の塚や南越谷も同じこと。翔はキャバクラ素人の自分の店がなぜ流行っているのか、その理由に気付くことができた。素人故に業界の慣習や馴れ合いを知らず、だからこそ、それに流されることがなかった。そのおかげで独自のブランドとなるクオリティの高さを創り上げていたのだ。