STORYSHO Kizaki

#011-6 失意「俺たちは本気で

2021.11.07

#011-6 失意「俺たちは本気でこの仕事に打ち込んで来たんです。ホストの事を水商売だ、男妾だと悪く言う人間もいる。それでも俺たちは、この仕事に誇りを持って頑張ってきたんです。それが『どうしようもない』のひと言で片付けられるなんて。悟志さんは俺たちがそんな程度の気持ちでやってきたと思ってたんすか。契約が切れるなら再契約すりゃいいじゃないですか」 感情剥き出しにそう言いながら悟志に詰め寄る翔の姿に、仲間たちは誰よりも翔が1番本気でこの仕事に臨んでいた事を実感した。そして、その翔の行き場を失くした想いを、痛みを我が身に感じていた。 (これからだと思ったんだ。みんなと、もっともっとやっていけると思ったんだ。この場所で…それなのに…なんで…)  翔の叫びは自分自身のためではなかった。踏みにじられた仲間たちの努力のために叫んでいた。 「悟志さん、答えて下さいよ」 その翔の痛みを全身に受けながら悟志は黙っていた。そして口を開くと、ゆっくりと話し始めた。 「翔君たちが本気でやってきてうれたのは俺だって充分理解している。再契約できるならしたい。でも、ここの契約は“切れる”じゃなく“切られる”んだ」 「切られる?」