STORYSHO Kizaki

#012-4 蘇生「隣のビルの2階にある

2021.11.28

#012-4 蘇生「隣のビルの2階にあるシャルマンが入っている物件、僕に貸してもらえませんか」 「お前は、あそこで店長をしていたそうだな。家賃もロクに払えなかったくせに、また貸して欲しいと言うのか。随分とムシのいい話だな」 大家が翔に対して好意的でないのは明らかだった。 「確かに悟志さんは…飯田さんは家賃をお支払いしていませんでした。でも僕らは知らなかったんです。それに、売り上げは上がっていました。自分たちでやるようになったら家賃を滞納する事はありません。毎月ちゃんと払います」 「…そもそも、ワシはな、ホストクラブちゅうのが好きじゃないんじゃ。ホストという人種が嫌いなんだよ。男のくせに女に媚びへつらい金をもらう。男としての誇りも矜持も無い。恥かしくないのか!」 しかし、翔はキッパリと言い返した。 「おっしゃる通り、ホストは女性を相手にした仕事です。でも、媚びを売っているつもりはありませんし、へつらってるつもりもありません。今の時代、女性たちも社会に出て仕事をしています。男が仕事に疲れて夜の街に出て、女性のいる店に癒しを求めて行くように、女性たちも疲れを癒してくれる場所が欲しいんです。ホストクラブは、そういう場所の1つだと思っています。お客様が抱えている悩みや辛い気持ちを、僕たちの店にいる間だけでも忘れてもらい、明日も頑張ろうという気持ちになれるよう、一生懸命尽くさせてもらっています。男妾のような浮ついた考えはありません。僕も仲間たちも真剣です。だから、もう1度、みんなで自分たちの店をやろうと考えたんです。お願いです。店を貸して下さい!」