STORYSHO Kizaki
#012-6 蘇生―贅沢は贅沢ができるくらい
2021.11.28
#012-6 蘇生―贅沢は贅沢ができるくらい稼げるようになってから。 それが翔の考えだった。そして、その考えのおかげで翔は23歳という若さで、次のステップへ進むための資金を持つ事ができたのだ。 「そこまで準備してあるなら仕方ない。あとは1人でいいから保証人を連れて来い」大家は折れた。 「保証人?」 初めて聞く言葉の様に翔は呟いた。 「そうだ。不動産を借りる時は、それが世間の常識だ。ちゃんと仕事をして家を持っている人。お前が何かあった時、代わりに家賃を払ってくれる人。それが保証人だ。そういう人間を誰か1人連れて来い」 「…」 それまでの勢いとは打って変わって、翔は沈黙した。 「どうした? たいした問題じゃないだろう。親御さんでもいいんだぞ」 「…いません」 「なに?」 「保証人になってくれるような人はいません。僕、トラックの運転手を辞めてホストになる時、親に猛反対されて半ば勘当されてるから、親に保証人は頼めません。他に保証人になってくれる人は思い当たらないし…」 思いがけない翔の返答に大家は驚いた。 「それじゃワシに限らず、どこからも不動産は貸してもらえんぞ」 「…」