STORYSHO Kizaki
#203-2 炎上シャルマンだった頃、
2021.12.26
#203-2 炎上シャルマンだった頃、ホストクラブとキャバクラという関係上、シャングリラとは競合することはなく、その店長と道端で会った際には挨拶を交わす程度の関係だった。しかし、ジュエルになりキャバクラも始めた上、客入りも上々となると、シャングリラはジュエルに対してライバル心を抱くようになった。 翔にそんなつもりはなかったが、かつてのように挨拶をしても無視されていた。そのため携帯電話にはシャングリラの番号を登録してはいるものの、かけることもかけてくることもない状態だった。 「もしも…」 不思議に思いながら翔は電話に出た。電話口の相手はシャングリラの店長だったが、店長は翔が言葉を言い終える前に慌てふためいた様子で叫んでいた。 「オイッ!火事…お前の店、燃えてるぞ!」 「えっ!?」 単語を並べただけのその言葉から店長がいかにパニック状態にあるかが分かった。しかし、火事と言われても現実感が湧かなく、ピンと来なかった翔は、 「あっ、分かりました…」 とだけ答えると電話を切った。