STORYSHO Kizaki
#302-2 予兆「すいません、失礼します」
2022.2.20
#302-2 予兆「すいません、失礼します」 座っていた客席を担当のキャストに任せ、翔は田中の席へ移った。 「田中さん、店にいらっしゃるなんて、どうしたんですか」 「もちろん、飲みに来たんだよ。それにまた良い話が入ったんで、その話もしたくてさ」 「そうだったんですか、ありがとうございます」 「とりあえず、これからの2人のビジネスの成功を祈って、ドンペリのロゼで乾杯でもしよう」 2人は〝ピンドン〟などと呼ばれ、1本10万円もする高級シャンパン・ドンペリニョン・ピンクで乾杯をした。 ほどなくして、田中はブリーフケースから企画書を取り出した。 「これを見てくれ」 渡された10枚綴りの企画書には、栃木の郊外にある大型洋品店の紹介が写真入りで説明されていた。