STORYSHO Kizaki

#303-1 不安松本老人から借りた

2022.2.27

#303-1 不安松本老人から借りた金を田中に渡してからしばらくした頃、大型トラック一杯分もの大量の段ボール箱が翔の元に届いた。訳の分からない翔は、運送会社にその荷物について確認すると、それが田中の言っていた「しまだ」に卸す洋服だということが分かった。 (なんでここに送られて来るんだ?) 意味が分からず混乱していると、それを見越していたかのように田中から連絡が入った。田中の話では、倒産した店が倉庫も手放してしまったため、そこに置いていた商品の保管場所がなくなってしまったのだという。「しまだ」が買い取るまでの間、翔の方で保管しておいて欲しいというのだ。 (これを売らないことには、松本さんに借金を返せない) 背に腹は変えられない翔は、仕方なく隣の物件―かつてギャルソンズがあった場所を借り、商品を保管した。山積みされた大量の段ボールは他の物を置く余裕など残さず、その物件を埋め尽くした。